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怒らなかった現役時代。「だから、たまに怒ると効果があった」山本昌、理想の上司像。

尊敬されるベテランはどのように若手と付き合ってきたのか

Q.50代の正しい若手育成法とは?

 私は「近頃の若いもんは」という言葉が好きではありません。

 どちらかと言えば、今の若い世代はしっかりしていると思いますよ。私たちの世代と違ってバブルなど好景気を経験していないから慎重ですし。かたや、今ならばスマートフォンひとつあればどんな情報でも入手できますから、貪欲で行動力のある人たちは起業したりと、いろんなことにチャレンジできると思うんです。

 

 ですから、私と同世代の上司の方々も「俺たちの時代は」という一方的な考えではなく、今の合理的なやり方、考え方などを若い世代から聞くくらいがちょうどいいのではないでしょうか。私自身、現役時代に新しいトレーニングメニューなどに興味を持つと、若手選手に「この練習ってどうなの?」と聞いていました。それを言うとよく「聞きにくくないんですか?」と言われましたが、私の場合は全然気になりませんでした。

 私が重要だと感じるのは、上の世代と下の世代との共存だと思います。

 私たち世代が若い人の話ややり方をよく知ることと同じように、若い人たちも上司や年の離れた先輩のやり方を「古い」と馬鹿にしたり、切り捨てるのではなくて、1回は試してみる。それが仮に合理的ではなく、面倒な作業になったとしても、上の人たちはそうやって現在のポジションに就いているわけですから、何かしら理由があって言ってくれているのかもしれません。昔のやり方、考え方を知ることで、今の作業がもっと合理的に進められるかもしれませんし、新たな発見だってあるかもしれない、と私は思いますね。

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山本 昌

やまもと まさ

1965年8月11日、東京都生まれ。神奈川・日大藤沢高から83年秋のドラフト5位で中日ドラゴンズに入団。プロ5年目、88年の米国への野球留学をきっかけに飛躍し、同年8月プロ初勝利。以後はスクリューボールを武器に活躍する。93年に最多勝利、最優秀防御率のタイトルを獲得すると、翌94年には連続最多勝利と沢村賞に輝く。97年にも最多勝利。2006年9月16日対阪神戦でプロ野球史上最年長の41歳1カ月でノーヒットノーラン、08年8月4日の巨人戦で史上24人目となる通算200勝を樹立。通算581試合に登板し219勝165敗。


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